深海魚Lover
不意を突かれた出雲の頬に翳された手。

その唇に触れる唇、路上で口づけを交わす二人。

その前を通る、一台の車----

「あれは、若頭」

「そうなのか?
 相変わらず目立つ男だな
 
 ガキの頃から一際
 存在感を放つ男だったが」

「ところで、お嬢さんにはいつ頃
 お会いになられますか?」

「明日……」

「久しぶりの再会ですね」

「私が留守の間に君は
 ヨウコには会ったことあるのか?」

「いっいえっ、私は!
 
 綺麗になられているとお噂では
 聞いたことがありますが……」

「そうか

 アイツも年頃の娘だ
 恋人ぐらい居るんだろうなぁ」

店の前で、キスを終えた二人----
 
「これぐらい、いいでしょう?」

「駄目だ

 明日の約束はナシ」

「えっ、そんな~」

「おまえ、名前は?」

「お店では、安寿
 ほ(本名は)……」

「アンジュ、もう行けよ
 用がある」
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