深海魚Lover
「車まで一緒にどう?
 送って行くわよ」

「運転は寄せよ」

お酒のせいでちょっぴり火照る頬に触れる指先、赤いネイル。

「あっそうね、了解

 駅は?アッチね」

出雲に手を振り、駅へと向かう女の足が止まり振り返る。

「何だ、まだ用か?」

「ねえ、私もあなたのこと
 イズモって呼んでもいいかしら?」

「ああ、好きに呼べよ」

「じゃあ、イズモ

 明日待ってる」

「わかったから行け」

出雲と別れた女・安寿は、その後も何度と振り返り手を振って去ってゆく。

夜の街----出雲のスマホから漏れる声。

「アニキッ、今どこっすか

 アニキ!」

「ツル

 さっきは悪かったな」

「アニキ、俺も……」

「今すぐ迎えに来てよ
 おまえにしか頼めねえ」

「はい、今すぐ行かせて頂きます!」

「ところで、ツル
 おまえ、車あるのか?」

「はい、キョンのアニキに借ります」

「キョンとメイの邪魔だけは
 すんじゃねえぞ」

「はい、承知してます」

「おまえが来るのを待っててやるよ」
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