深海魚Lover
私は咄嗟に、出雲さんの歯ブラシを用意してあげなくては!そう思いその場に居座った。

「はい、そうだ確か新しい
 歯ブラシがここに」

その結果、狭い範囲に大人の体が二つ。

鏡に映る私よりも、数段と高い位置に出雲さんの顔が映る。

その横顔、寝起きでさえも美しい……鏡越し、重なり合う視線。

「あっ!どうぞこれ」

私は歯ブラシを出雲さんに手渡すことなく、洗面台の上に置いた。

「サンキュー
 タオルいいか?」

「はい、今すぐ」

男性慣れしていない私の胸は、ドキドキでいっぱいいっぱい。

「ふぅー」

大きく深呼吸をした私は、白いタオルを手にして洗面所へ向かう。

水の流れる音----

顔を覆う手、細く長い指先

顔を洗う貴方の長い髪が前へと垂れて、白い洗面器に今にもつきそう。

私はサッと貴方の髪に触れ後ろでひとつに束ねて持ち、貴方が顔を洗い終える時を待ってる。

「サンキュー」

「いえっ……」
< 189 / 410 >

この作品をシェア

pagetop