深海魚Lover
私は今、むさ苦しい男達とかわいらしい男の子に囲まれてお絵かきをしている。

どうしてこうなってしまったんだろう?

ここに居たいとは思ったけど、何かが違う……


「メイちゃん、じょうず」

「本当?」

「はい、本当、うまいですね

 ねえ、若ッ

 イズモのアニキ」

「ああ、プロになれるよ」

「プロ相手に何言ってんだか

 それより出雲、こんなところで
 油売ってていいのか?

 オヤジに叱られるぞ!」

「親父の説教、そんなもの
 怖かねえよ
 
 こんな小せえガキの頃から
 聞かされてんだぜ
 
 もういい加減、慣れっ子さ

 でも、まっ、帰るとすっか!

 その前に挨拶、挨拶……」


出雲さんは立ち上がると玄関ではなく、日当たりの良い奥の部屋へと入って行く。


挨拶……いったい誰に?


「あっ、わすれてた

 ぼくもママに
 ただいまのあいさつしなきゃ」


あっ!そうでした。

京茨先生にはお子さんが居て、それってもちろん奥さんが居るわけで……
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