深海魚Lover
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その頃、出雲との通話を切った京次はモダンクラシックな邸宅の高級感あふれる重厚な雰囲気の中、生徒である女性に書を教えていた。

ヨーロッパの伝統的なスタイルの中に溶け込む書道、和の精神が息づく様子に京次自身も触発される部分がある。

「中断してしまいすみませんでした」

「いえっ、京茨先生どうですか?」

「よく書けていますよ
 そうですね、私としましては
 ここをもう少しこんな風に……」

生徒の書いた文字の上に、京次は大胆に筆を動かす。

しなやかに伸びる線、最後は力強く。

京次が手直しする書を隣で見ていた淑女。

「あら、華子さんの個性はそのままに
 先生、とても素晴らしいですわ」

「お母さん、いつからそこに!?」

「つい今よ
 
 ところでケイジ先生
 そろそろ休憩に致しません?
 
 主人も待ち兼ねていますのよ」

「ああ、はい、そうですね」
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