深海魚Lover
「先生、おいしくないなら
 おいしくないと正直に言って
 あげてくださいね

 その方が父のためになります

 わざわざ休日の時間を割いて
 お料理をするだなんて、本当
 困った趣味に付き合わされて
 うんざり

 先生だって毎回来る度に
 何かを試食させられて
 迷惑ですよね
 
 本当、気の毒だわ」

「いえっ、私は!

 いつもおいしいお菓子を出して頂き
 しかも帰りにはお土産まで頂いて
 息子もとても喜んでいます」

「ほらみなさい、ハナコ
 
 余計なことを言うのなら
 お前は食べなくていいぞ」

「もう、言わないわよ」

「さあ、ケーキ頂きましょうか
 
 お紅茶もどうぞ」

四人で過ごす午後の穏やかなひと時、それはここに訪れるとよくある風景。

「おいしいです」

「それはよかった

 ところでケイジ先生
 この間の話ですが……」

紅茶を飲もうとカップに触れようと伸ばした手を京次は止める。

「新年会の?」
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