深海魚Lover
「はい、何ともないですよ」

「そうか、よかった」

「ツルさんから貰ったキーホルダー
 使ってるんですね」

「ああ、せっかくだしな」

黒色で縁取られたキーホルダー。

透明のレジン(樹脂)の中に広がる世界は見様によっては少々グロテスク。

「かっこいいですね

 ケイジさんの雰囲気に
 ピッタリです」

君はそう言って、熊の置物の傍に鍵を置いた。


その後、着替えるのも忘れて俺は夢中で君が描いた絵を眺めている。

下山君がこの絵を評価してみせるその声さえも、今の俺には聞こえてこない。

絵に穴が開くんじゃないかというぐらいに俺は見ている。

何時間でも見続けていたいほどに素晴らしく、真っ赤な世界に今魅せられる。

「ケイジさん、私の絵どうですか?

 黙ってどうかしましたか?」

「いやっ、何でもない
 ただ感動しただけだ」

「メイちゃん、すご~い

 すごいね~」

「本当、ありがとう」
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