深海魚Lover
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一生懸命に頑張って描きあげた絵を、皆にこんなにも喜んでもらえてとっても嬉しく思う私だった。
そんな私が羽織るエプロンの裾を引っ張る小さな指先。
「メイちゃん、おなかすいたよ」
壁時計、時間は19時40分過ぎ。
「わっ、もうこんな時間
ジュン君、気がつかなくてごめんね
今すぐご飯にするね」
夕食の準備をする為にキッチンへと急ぎ向かう私に聞こえた声は、下山さん。
「それでは、私はこれで失礼します」
「夕飯、食べて行かれてはどうですか?」
京次さんの思ってもみない誘いに驚いた様子の下山さん。
「えっ!それは……」
私も立ち止まって下山さんを食事に誘う。
「シモヤマさん
お口に合うか分かりませんけど
どうぞ食べて行ってください
急いで用意しますので
待っててください」
「いやっ、私はその、まだ仕事が……」
そう言いながら困惑した様子で部屋中を見渡した後、玄関先を見つめる下山さん。
閉まっている扉、いつ開くとも知れない。