深海魚Lover
父親が下した手はベッドに落ちて昔のような力強さはない。

例え叩かれていたとしても、痛くも痒くもないだろう。

「聞いたぞ、バカなことを
 いい加減、腹を括ったらどうだ

 どうあってもお前は逃げられねえ
 
 諦めるんだな」

「誰も逃げちゃいねえよ

 煩わしいだけ」

「わずらわしい?

 何、面倒なことは下の奴らに
 任せておけばいい

 お前は跡目をしっかりと
 熟せばいい
 
 ただ、それだけのこと
 
 バカでもできる」

「そうだな

 ……くだらねえ」

「イズモ?」

馬鹿でもできることならば、どうぞどうぞ、どこぞのバカに遣らせろよ。

『……

 そんな難しい顔して考えたって
 無駄だよ

 イズモ、貴方バカなんだから』

「なあ、親父

 じゅんのこと
 アンタ思い出すことあるか?」

「カシラッ!その話は」

首を左右に降って出雲の話を止めようとした右田。
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