深海魚Lover
「ジュン?」

首を傾げて見せる父親に、病人だと分かっていても苛立ちを押さえられない出雲。

『大丈夫だ、俺はもうガキじゃない
 
 そう簡単に遣られやしないし
 おまえを傷つけさせやしない』

傷つけさせやしない……

「忘れてんじゃねえよ
 何、忘れてんだよ
 
 犠牲になった娘のこと

 アンタ、お袋のことだって
 忘れてるんだろう

 笑わせんなよ
 都合の悪い事全部忘れて」

「アレのこと
 私が忘れるわけないだろう
 
 長生きしてりゃもっといい思い
 させてやったさ」

「何言って……」

「早死になんかしやがって
 親不孝もんが!」

親不孝者……それは、絢?

「親父っ」

「はあ、疲れた

 ウダ、ワシは少し横になる」

「はい

 カシラ、後は私が……」

「ああ、頼む」

部屋を出て行こうとした出雲に父親は言う。

「イズモ

 キョウはどうだ?」
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