深海魚Lover
ガラガラガラ----

名を呼ばれた嬉しさに、私は傘も持たずに颯爽と家を出る。

私の頭に、肩に、降る雨

「芽衣子、傘

 何やってる」

貴方が開いてくれた薄ピンク色の傘。

描かれた生成り色のダマスク柄の下で相合傘をした私達は、そっと優しいキスをした。

憂鬱な雨も、何だかとってもロマンチック。


そんな風に感じられたのは、貴方に恋をしていたから----


雨降る中、軽やかなステップを刻む私の髪、その毛先が今ビジューの飾りに絡まった。

「イタッ!
 
 やっちゃった」

髪を無理やりに引っ張る私----


空から降る雨の一滴一滴に映る、さまざまな色


「アッ!」


ポタポタ……チャポン……


落下するしずく、受け止めた水溜りの中で不協和音を発する。

その不調和に私はぞわぞわっと違和感を覚えた。


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