深海魚Lover
出勤する人々に紛れて電車に揺られ、いつもの駅で降りた私は知ってる道を通り、たった今出版社に到着した。

建物の前----傘をたたむ私にぶつかる人がいる。

「キャッ、すみません!
 
 あっ、スガ先生

 先生、大丈夫でしたか?」

私の腕を取り心配そうに見つめる彼女はそう、私の以前の担当者さん。

「はい、全然、平気
 
 大丈夫ですよ」

「急いでいて、どうもすみません」

そんな彼女は、何だか青白い顔をしている。

「そんなに気にしないでください
 ……
 あの、何かあったんですか?」

「はい、それがフリーランスのライターさん
 記事の執筆が思うように進まない
 書けないと放棄されてしまって……」
 
彼女の話では、代わりのライターさんに依頼する為に急ぎ出掛けて行くところだったらしく、頭の中はこれからの事でいっぱいいっぱいで辺りが見えていなかった様。

「それはまた大変ですね

 うまくいくといいですね
 
 がんばってください」

私の声掛けに少し驚いた様子の彼女。
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