深海魚Lover
初対面の彼女に面と向かって思いを口にする自分自身に驚くのと同時に、彼女に伝えた言葉は嘘偽りのない本当の気持ちだと確信している。

例えこれから先、辛く苦い思いを味わうことになろうとも、私は京次さんの傍に居たい。


今の私----

自分の思いにしか気づけない。


『誰がジュンジを守る?』

私にとって京次さんが全てであるように、潤司君にとっても京次さんが全て。

貴方以外の誰も潤司君を守ることはできない!


「メイコさん、お帰りなさい」

生徒さんに会釈をする私に聞こえた、愛する人の深い声。

「おかえり」

「ただいま」

そう、ここが私の帰る場所。

ここが私の居場所。


だけど----

気づいてしまったら、私はここには居られない。


----夕方、閉まる玄関の戸。

書道教室を終え、生徒さん達が誰も居なくなった部屋を二人で片付ける。

時計を見た京次さんは言った。

「芽衣子、ジュンジを迎えに行って
 どこかで飯でも食おうか?
 その方がいいだろう
 帰ってからまだ仕事もある

 芽衣子、聞いてる?
 どうかしたのか?」

「いえっ何も……
 今日は外食にしましょう」
 

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