深海魚Lover
「いい、遠慮しておくぜ
 
 偶然にしちゃ出来過ぎだ
 
 乗っておいて言うセリフじゃねえが
 おまえのことは信用ならない」

「じゃあ、言わないことね

 私が自分の車で誰を乗せて
 どこへ向かおうが私の自由
 
 貴方は黙って乗ってればいいの」

車のスピードを加速させる、安寿。

動く車内では身動きが取れないと思った出雲は煙草を吸い出す。

フーッと強く吐き出す煙……出雲は呆れたように話す。

「俺の前に顔出すなと言ったはずだが」

「助けてもらっておいてまだ言う?」

「どうしてあそこに」

「何年ぶりだろう親子の涙の御対面
 と言うのは大袈裟ね

 再会の席で峰からの電話に出た父は
 話し終えると血相を変えて出て行った

 そんな父の後を私は追っただけ」

安寿の話に出雲の顔色が変わる。

「父の後?」

「そうよ、私は父である
 根岸一楼の後を着けたの」

「ネギシイチロウ

 ロウの娘?」

出雲の目に映るのは、運転する安寿の姿。

二人の視線が今、重なる----
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