深海魚Lover
「そうよ
 根岸蓉子、それが私の本名

 峰は貴方が加瀬組の跡目を継ぐとこを
 何があっても阻止したい

 その為に私だけでなく父までも味方に
 つけて貴方の妨害をする

 父に、貴方に何かされちゃ困るもの
 だから車を飛ばして来たってわけ」

窓の外を見つめながら、出雲は問う。

「どうして、俺に構う?」

「そんなのひとつしかない
 
 あの夜、あの朝だったかしら
 私は貴方に堕ちたの

 それは、峰の誤算」

「誤算?」

「そうよ、私を貴方に会わせたのは
 失敗だったってわけ

 父の事は私に任せて
 貴方に手荒な真似はさせないから」

「よく言うぜ

 娘がたかが惚れてる相手なだけで
 この俺に手を出さないわけがない
 だろう、バカな事言ってんなよ」

「父は貴方には指一本触れないわ」

信号が黄色から赤に変わり、安寿は急ブレーキをかける。

停まった車は横断歩道の白線に少しかかり、歩行者は車を避けながら歩く。

「なぜそう言い切れる」
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