深海魚Lover
「俺はしばらく身を隠す

 おまえは車をキョンに返して
 組に戻って様子を見て何か
 変わった動きがあれば連絡くれ」

「昨日の、あの顔ぶれ
 
 それが何か関係あるんすか?」

「奴ら、俺の跡目襲名披露でも
 やる気なんじゃねえの?」

「それは、本当のことですか!

 アニキ、身を隠すということは
 やっぱり組長にはならないと
 いうことですか?

 加瀬組がシナガワの
 好き勝手にされてもいいんすか?

 俺は嫌っすよ」

電話越しに聞こえる声から態度を見なくても、充がガッカリしていることが出雲には分かる。

「ツル、組が命のおまえには悪いが
 ここまで来ても何だが俺はまだ
 答えを出せずにいる

 跡目を継ぐことは俺にとっては
 容易い事

 だが俺の中の何かが
 それを良しとはしない」

「それは、親父さんとの件ですか?」

「さあな、俺にもよく分かんねえよ
 
 ただ、ビクついてんのかもしれねえな」

「アニキ、そんな……」
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