深海魚Lover
「何、お茶の一杯ぐらい飲めるだろう
 それとも俺の誘いを断る気か?」

京次は目を細め、冷めた目つきで充を見ながら深い声でそう問いかけた。

「いえっ、そんなことは!」

「なら、少し休んで行けよ」

「はい、少しだけ」

家の中へと入って行く京次の後に続く充は、京次に出雲の事について何か聞かれやしないかとそわそわ落ち着かない様子で、もう一度深く息を吸い込んだ。

そして、自分から話を振ることにした。

「あれっ、キョンのアニキ
 ところでメイちゃんは
 お出掛けっすか?」

「いやっ、芽衣子なら早起きして
 昨夜から描き直している挿絵
 の続きをさっきまで描いていた
 んだが何でも頭痛がするとかで
 今は眠ってるよ

 根を詰過ぎたんだろう」

「そうっすか、大変ですねぇ
 絵描きさんの仕事は

 ところで、あれっすか
 いい感じなんっすか?
 
 確か絵ができたとか何とか
 イズモのアニキがジュンボウから
 聞いたとかで……」

つい話の流れで出雲の名を出してしまった、充……

「ああ、どうしてもその絵を
 出雲にも見せたいって
 ジュンジのヤツが電話したからな

 でっ、出雲は来るのか?」
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