深海魚Lover
テーブルに置かれた、湯呑。

「いえっ、あっ、お茶頂きます

 アチチッ!熱いんすね、お茶」

慌てて湯呑を持つ手を放す、充。

「緑茶だからな

 出雲に何かあったのか?
 
 確かいつものように出雲を
 迎えに行くから車が必要だったはず

 それなのに、どうして一緒にいない?」

「それはですね
 アニキってば、そうそう
 最近お気に入りの女のところに
 朝っぱらから連れて行けとかで
 俺のこと呼び出して挙句に帰れ
 ですよ

 いつもなら待ってますけど今日は
 バカらしくなって帰って来ましたよ」

「そうなのか、おまえも大変だな」

「はい、本当、大変っすよ」

熱いお茶に向かってフーと強く息を吐いた充は、うまく誤魔化せたことにホッとしていた。

「……ジュンボウは保育園っすか?」

「ああ」

二人、しばらく会話を交わしていると充の携帯電話の着信音が鳴る。

充は慌てて電話を切るとマナーモード設定に切り替えた。

「なんだ、出なくていいのか?」

「たまには事務所に顔を出せって
 カキムラのアニキっすよ
 
 何度も何度もしつこくて本当
 困ってるんですよ

 あっ、まただ!

 出たら話長くなりそうなんで
 メイちゃん起こしちゃアレなんで
 俺そろそろ帰らせて頂きますよ」
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