深海魚Lover
「ああ、そうか」

玄関先、靴を履く充。

「ツル、車、本当にいいのか?」

「はい、大丈夫っすよ
 タクシー拾いますんで

 それに向こうにつけば
 必要な場合は手に入りますんで」

「そうだな」

「じゃあ……」

引き戸に手をかけた充の背中に向かって京次は言う。

「ツル、答えなくていいから聞け

 俺の思い違いかもしれねえが
 何やら俺達の周り、騒がしい感じだ

 相手は、だいたいの想像がつく

 何か起こってるんだろう?

 頼む、出雲のこと任せたぞ

 今の俺は何もできない……」

今はまだ、動けない----

動く事ができない自分自身を歯痒く感じているだろう、京次の声を聞いた充は振り返ると明るく笑って見せる。

「キョンのアニキ、何の話っすか?
 何も心配する事無いっすよ
 
 ちょっと組がゴタゴタしてるだけっす
 
 それもイズモのアニキが納まる
 ところに納まれば、何大丈夫!
 
 要らぬ心配ですよ

 キョンのアニキは今まで通り
 ジュンボウとメイちゃんとの暮らし
 大切にしてくださいよ

 でないと、ジュンさんに
 あの世で俺が叱られますよ

 怖いんですよ、あの人は」
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