深海魚Lover
「おいおい、大丈夫か?」

「はい

 ケイジさん、おいしいです
 とっても」

美味しさに頬が緩む私の頭を優しく撫でる、京次さんの温かい手。

「もう痛くないのか?」

休んだおかげでガンガンする頭痛は治まっていた。

「はい、もうスッカリ」

「そうか
 
 ほらっ、食え食え」

京次さんは牛肉をパクリと食べた。

綺麗に食べ進める京次さんの姿をじーっと見つめているとその手が止まる。

「何だ、足りないのか?」

「いえいえ、これで充分です

 そうだ、ケイジさん
 今日はこの後どうされます?」

「そうだな~」


わたしは知らない

あなたの胸の奥に在る

想いを----



賑わう街並みの中に佇むビジネスホテル。

細長い建物の狭いロビーにはぴったりとソファーが配置されている。

窮屈なその空間で、ソファーに腰掛け充の訪れを一人待つ出雲。

しばらくして現れた充は、出雲の組んだ長い足のギリギリに立った。

「アニキ、狭いっすねここ
 
 外の店で話しましょうか?

 それとも部屋で」

「いやっ、ここでいい」
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