深海魚Lover
「ケイジさん、ほんとうですか?」

「ああ、何も恥じることは無いよ」

芽衣子を思いやる京次の優しい言葉。

微笑み合う京次と芽衣子の間に割り込んできたのは、華子。

「でも先生、発言しても宜しいですか?」

「はい、華子さんどうぞ」

「字とは自分だけではなく
 人の目にも触れるもの

 思いを伝え読んで頂く
 手段の一つでもある字は
 やはり相手にも分かるように
 もっとはっきりと書くべきでは
 ありませんか?」

「そうですね、けれど伝える術は
 何も字だけではありません
 私達には言葉がある
 表現する方法は人それぞれです

 しかしここは書を教え、字を習う場
 大切な時間を割いて通って下さる
 皆様には納得のいくものを手にして
 頂かなくては

 華子さんにも芽衣子さんにも自分
 がこれだと思う字に出会えるまで
 自分のペースを大切にして精進
 して頂きたい」

「そうよ、メイコちゃんは今日が
 初めてなんだもの字が多少
 アレでも仕方ないわよ、ねえ?」

「そうそう、私達だってここに 
 通うまではヘンテコな字だったもの
 気にする事無いわよ」

「そうそう」
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