深海魚Lover
雛田さんや雛田さんのお友達の奥様方にも、私の字は不評みたい……

「メイコちゃん、これからよ
 美文字目指して、ファイト!」

「はっ、はい!」

私の肩を強く叩いた雛田さんは自分の席へと戻って行く。

雛田さんの言葉で、この話はお終い。

気を悪くしたであろう華子さん、その後は黙々と字と向き合っている。

そんな彼女の写経用紙に目を通す京次さん。

「いつもどおり、とても綺麗ですよ

 ただ、この字は少し窮屈になって
 いませんか?
 
 こう書くと宜しいかと」

「はい」

華子さんの字を手直しする為に畳に膝をついた京次さん。

内緒話をするように密着する二人……何ともハラハラしてしまう訳で。

サッとその場に立ち上がる京次さん、彼女は字を書きながらとっても嬉しそうに微笑んだ。

ダメダメッ、集中しなきゃ!

写経用紙を見つめ首を左右に振る私の姿を見て、京次さんが口元を緩めてることを私は知らない。

その後、集中して字を書いていると時間はあっという間に過ぎて----

「はい、本日はそこまで
 お疲れ様でした

 写経用紙は集めて頂いて
 最後には、おたき上げします」
< 326 / 410 >

この作品をシェア

pagetop