深海魚Lover
----その頃、生徒を見送る為に表に出ていた京次。

「先生、それではまた」

「はい、お気をつけて」

「京茨先生」

「ああ、華子さん、今日はどうも……
 急遽決まりましたので連絡が遅れてしまい
 今朝は慌ただしかったのでは?
 
 それで写経の続きですが
 次回はまだ決まっておりませんので
 個人授業の方でも……」

「いいえ!
 
 写経は生徒の皆様方と御一緒に
 これからもこちらでご指導頂きたく
 思います、いけませんか?」

どちらかといえばこれまで、自分の意見などあまり述べる事のなかった華子の態度に少し驚く京次。

「いえっ、いけないことはありませんよ
 ……
 ではそういうことで

 お気をつけて」

別れを告げる京次とまだ一緒に居たいと願う、華子。

「先生っ!」

「ケイジ先生

 お見送りなんていいわよ」

その願いも空しく、華子の声は掻き消される----

「ほらほらっ、中でメイコちゃんが
 待ってるわよ」
< 328 / 410 >

この作品をシェア

pagetop