深海魚Lover
怒ると彼は手が付けられない野獣。

「ちょっ、待てよ!
 あれはどうしようもなかった
 
 あの場に居たらわかることだ

 お前、お前も確かあの時見ていたはず」

出雲よりもひと足先に現場に着いた充の目にはっきりと見えた……

日本刀を振り下ろし地面に投げ捨てる男。

男は即座に銃を構え、銃弾を数発地面に撃ち付けた。

そのひとつが跳ね返った先には傷を負う京次の元へと辿り着く絢の姿。

『グッ……』

銃弾に貫かれ、声もなく倒れ込む絢を抱き留める京次。

脳裏に浮かんだだけの情景でさえ、この目を背けたくなる。

とても悲しく

とても遣る瀬無い時間----

「人を殺めておいて
 どうしようもなかったで片付くんすね」

その悲しい声に優しく話しかけるのは、黒須。

「脅かすだけの銃弾に彼女が……」

「クロス、もういい!

 あの時の私は復讐に駆られ
 銃をぶっ放した

 そう、出雲を殺すため

 奴を遣らねば私の気は済まない」

「ジュンさんを殺したところで
 アンタの気は済まない?」

臆することなく挑発的な視線を向ける充。

「バカッ、やめろ!」
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