深海魚Lover
一斉に扉に注目する男達。

そこには、ここへ来るまでに緒澤組の連中とひと悶着あったのだろう、荒い息を吐く男----

「ハァハァ……」

ひどく痛めつけられてはいるが命のある充の存在にホッと安堵するのは、仲間を引き連れて現れた垣村。

「おいおい、また
 お呼びじゃねえ奴のお出ましかよ」

いつも眼鏡やサングラスで目元を隠している横田錦の素顔を、この時初めて近くでマジマジと見つめた垣村は一度頷くと動揺を悟られないようにした。

「横田錦に緒澤組の面々
 これはこれは皆様お揃いで
 
 でも確かアンタ等の組は消え失せ
 居場所を無くしたはず
 
 いいんですか?
 こんなところに未練たらしく居て
 お巡りに感づかれても知りませんよ」

そう、取り壊された緒澤組の居場所などこの街のどこにもない。

今はもう使われていない廃墟と化したビルの一角。

放置され厚いほこりが積もり、隠された場所。

「ところで横田の組長さん
 ミツルを今すぐ返してもらいましょうか?」

「それはどうかな

 どうする?」

横田が仲間にそう問いかけると、相手は首を傾げてみせた。
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