深海魚Lover
辺りを見渡す出雲の目に映るのは、大正期の邸宅・洋館を思わせる内装の一室。

アーチ型の壁に天井から吊るされたシャンデリア、広い応接間……

けれどそんな中一際目立つのは、お洒落な壁紙を台無しにする緒澤組の文字。

その活字は、嫌でも目に入ってくる。


「ツルッ!充はどこだ?」

「お目覚めのようだな

 ミツル?

 ああ、坊主なら無事に帰ったぞ」

「……

 どういうつもりだ」

「見たままだが

 どうだ、何か飲むか?」

「フン、要るかよ

 それより見縊られたものだな
 組長さん、アンタと二人きりとはな」


広い室内に二人きり----

出雲はそうっとポケットに触れる。


「持ってたチャカは預らせて頂いたがな
 
 後、別室では仲間が待機している」

「わざわざ、別室にねぇ
 
 ところで、アンタと二人になる意味
 あるのか?」

「ああ、お前にはなくとも俺にはある」


そう言うとグラスにワインを注ぎ少し揺らして飲む横田。


「悠長に構えてんなよ」


右手にワインボトル、左手にはグラス。
< 354 / 410 >

この作品をシェア

pagetop