深海魚Lover
「ああ、そうだ、それでいい
 
 お前の親父さんは誰でもない
 加瀬の組長さん、ただ一人だ」

「……」

「最愛の娘を殺した俺に向かって
 奴は言ったさ

 『おまえを一生赦しはしないが

 殺しもしない』と」


加害者遺族の人間が被害者に面会すること等、それは情状酌量を意味する行為になり得る。

留置所、面会を断ることもできたが横田は加瀬に会う事にした。


『ふん、この俺をどうするってわけだ?

 残念だが、ここじゃあ
 手も足も出せないぜ、帰った帰った』

『横田

 一度しか言わないからよく聞け
 
 出雲、アレはおまえの子だ』

『……はぁ、老いぼれジジイが
 何ほざいてる、ぼけてんじゃねえぞ?

 嘘つくんじゃねえよ』

『嘘をつく意味がどこにある?』

『……

 マジかよ』


何十年も昔の過去の思いに駆られ、自分が犯した過ちに横田は続く言葉も出ない----


『横田、イズモはおまえが嘗て
 愛した女の忘れ形見だ

 返す謂れはないが今後
 父親である事実を出雲に話す事
 私は止めはしない

 しかし父親であると認めた以上は
 遣ることは遣ってもらう

 わかるな

 ……働いてもらう』
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