深海魚Lover
それだけ横田に伝えて加瀬組長は部屋を出て行った。

その後、横田が三年四ヶ月という最短で出所できたのも加瀬組長の口添えが在ったため。


「何だ、それ……」


自分の知らないところで勝手に話がなされている事実

一向に消えることなく、今こうしている間も煮えたぎる復讐心


目の前の

この男が、俺の妹・絢を殺めた

その男が、俺の実の父親……


横田の口から語られた言葉、それは紛れもない真実----

見る見るうちに顔が青褪めてゆく出雲。


気分が……


持っていきようのない感情

いったい、何処にぶつければいい?


ギュッと強く握り締めた両拳を黙ったまま、ただ見つめているだけの出雲。


「おいっ、どう(した)?」

「クロス」


首を横に振る横田に、口籠る黒須。

困惑しているだろう出雲に横田は声をかけた。


「まだ話足りないが、とりあえずはここまでだ
 
 出雲、腹が決まったら
 お前の思うがまま
 お前の好きにしろ

 クロス、手出すんじゃねえぞ」


「アンタが父親ってことは、奴は……
 
 笑わせんなよ
 
 じゃあ俺は何のために奴の暴力に
 …… 
 ああそうか、親じゃねえからできたこと?

 ……俺とじゅんは……」
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