深海魚Lover
背を向けて出て行こうとした出雲さんの腕を気づくと私は握りしめていた。


行かせちゃいけないような気がして

それは私じゃない誰かの想いにも似て……


どうしてこんな行動に出たのか、自分で自分が分からない。


「なんてな

 そんな顔すんなって
 大したことねえから
 
 組内のいざこざなんて
 しょっちゅう

 マジ、飽き飽きするぜ

 じゃあな

 奴によろしく」


私の手を振り切って玄関を出て行く途中、出雲さんは立ち止まったまま背中越しに言うの。


「キョンに黙ってろとは言わないが
 言うと、もしかしたら厄介なこと
 になるかもよ

 アイツ、人一倍喧嘩っ早いから
 まとまるもん(話)も
 まとまんなくなる

 まあ、アイツも人の親だ
 
 もうバカなことはしないだろう
 とは思うが……」


振り返る、出雲さん……。


「メイちゃん

 俺が言ってる意味分かるよな

 じゃあな」


出雲さんが発したその声は深く

そして、私を睨みつけたあの瞳……胸騒ぎがする。
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