深海魚Lover
小さな俺をその手に掛けながら、アンタは何を思ってた……

アンタはこの俺をほんのちょっぴりでも愛してくれていたのか?


モトさんがキョン、ケイ兄を見つめ優しい眼差しを向けるように

貴方は俺のことを見てくれたことがあっただろうか?


本当の父親じゃないから貴方は俺を愛せなかったのか?


なあ、俺は

僕は、貴方に愛されていたのか……


潤む瞳----


「聞けたもんじゃねえ」

「アニキ……」

「行くぞ、ツル
 こんな辛気臭せえところ
 長居できるかよ

 息が詰まるぜ」

「イ…

 ズモか……?」

「坊ちゃん、親父が目を」


最後の力を振り絞り、加瀬は口を塞ぐ酸素ボンベを外した。


「イ、ズモ

 こっちへ、顔を」


そっぽを向いたままの出雲。


「若頭、さあ」


出雲の肩に手を置き振り向かせ、ベッドの傍へと向かわせる右田。

右田の手に感じる、微かな震え

それは、父親の死を前にして動揺する出雲の心の現れ。


「くそ親父……」
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