深海魚Lover
潤司と母親との時間を邪魔してはいけないと思った芽衣子は、潤司に声をかけることなくその場を去った。


自転車に乗って保育園に辿り着くまでの道のり、潤司は一言も話すことなくとても静かだった。


「ジュン君、着いたよ」


いつものように元気のない潤司。


「大丈夫、今日こそは絶対
 イズモさん来てくれるよ」

「うん」

「無理だったら、ケイジさんに頼んで
 イズモさんに連絡してもらおう

 だから、元気出してね」

「……うん」

「イバラさん、おはようございます

 ジュン君、おはよう」

「先生、おはようございます」

「……」

「ジュン君?
 
 ジュン君!
 どうしたの、気分悪い?」


潤司の額に手を当てた円先生。


「熱い、すごい熱じゃないですか!」

「えっ!?そんな」

「大変だわ

 ジュン君、しんどいよね

 園内で休ませてあげたいところだけど
 この熱、今すぐ病院へ行きましょう

 病院まで私が車で送らせていただきます」

「すみません、ありがとうございます
 
 私ってば、気づけなかった」


意気消沈する私に園長先生は優しく声をかけてくれた。
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