深海魚Lover
「イバラさん、しかたありませんよ
 子供が急に体調を崩すことは
 よくあることです

 さあ、早く病院へ」

「はい」


円先生の運転で病院に到着したその後は医師の診察を早くに受けることができ、風邪であると診断されて薬を頂き一安心。

病院に来てほっとしたのか青ざめていた潤司の頬にもほんのり紅がさす。

円先生に家まで送り届けてもらった私は車を降りて挨拶をする。


「まどか先生、本日は
 どうもありがとうございました

 全く気づいてあげることができなくて
 私……」

「イバラさん、こんなことを私が言える
 立場ではありませんが聞いてください
 
 貴女、母親になられたんですよね?
 もっとしっかりと見てあげて下さい

 あんなに熱が出る前に普通なら
 気づけたはずだわ

 ジュン君とのスキンシップ
 しっかりと心がけて下さいね」 


眠っている潤司君をこの腕に抱き室内へと入った私は床に荷物を置いた。

布団に潤司君を寝かせてあげる間も、氷枕を作ってあげる間も円先生の言葉が頭の中を巡る。



----ガラガラガラ

引き戸の音にさえ、今の私は気づけない。


玄関先に置かれたままの保育園の用意、脱いだ黒い革靴----
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