深海魚Lover
『貴女、母親になられたんですよね!』


潤司の傍に腰を下ろすと、とてもしんどそうな息遣いが聞こえる。


心がける、スキンシップ……


潤司の額に翳した手


「熱い……」


『ママ

 ……

 ぼくね

 なんだか』


あの時、きっと潤司はしんどいと母親に伝えていたのだろう。

私に言えなくて……


「ジュン君、ごめん

 ごめんね

 ほんと、ごめん

 母親になろうとしてるくせに
 わたし

 失格だ」


母親失格----

円先生の言葉が何度も何度も聞こえて、重く、響く。

情けなくてたまらない

じわっと瞳に溢れる涙を拭う私に背中越し聞こえる声がある。


「結婚
 
 やめろよ」


振り返るとそこに貴方が立ってた。


「イズモさん……」


潤む瞳で、私は貴方を見た


貴方は、サッと跪(ひさまず)き

涙する私をその腕で抱きしめた。


貴方から香る香は、とっても優しい。
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