深海魚Lover
「無理だ、それはできない」


思いもよらぬ父の言葉に、今度は苦痛の表情を浮かべる蓉子。


「できないってどういうこと?
 
 どうしてそんなことが言えるの!?
 
 聞いてたでしょう、私の話
 聞こえてないの?
 だったらもう一度話す……」

「話さなくていい!」


取り乱す蓉子に父・楼は言う。


「お前の話を全て聞き、そして理解した」

「……理解して出た言葉がそれ?」


とても悲しい顔をした愛する娘

その瞳の奥に見えた、絶望----

少女のとてつもない苦しみは計り知れない。


「ヨウコ」

「そう……
 そうなんだ、そんなものなんだね
 
 いいように弄ばれたお母さんや
 私の苦しみより
 貴方は、峰、あの人が大事」

「ヨウコ、それは違う」

「何も違わないわ!
 
 貴方は昔からそう、あの人に従い
 そして利用され続ける」

「ヨウ……」

「娘が愛してる男だってヤツに言われれば
 簡単に殺せる

 奴の言いなり、奴隷……」


『……貴方の悪行を知れば
 貴方は必ず、父に殺される』


「アハハッ、ばかみたい

 貴方は思ってるんでしょうね
 金の為に身を捧げた馬鹿な女達だと」
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