深海魚Lover
通話を終えた京次さん。

貴方はしばらく経ってから、私達が眠る部屋へと戻って来た。


布団の中、眠るふりをしてる私の頭を撫でる貴方の手。


じんわり温かで

ふんわり優しくて

私はとっても素敵な夢が見れそう。


貴方も、私も、眠りにつく----


夢の中、眠る貴方に聞こえた音はいつか聞いた音。

その音は、貴方を起こす。


ガラガラガラ----ガシャンッ、ドタドタドタッ!

引き戸が潰れ床が抜けるんじゃないかと思える程の凄まじい音が、深夜、家中に響き渡る。


「とう、さん?」


布団を剥いで寝床から起き上がると、今度は子供の声が聞こえた。


「いてぇよ、放せよ

 クソじじい
 
 放せって言ってるだろう」


嫌がる子供の腕を掴んでいた手を振り払うように解いた男。

そのせいで子供はぶっ飛ばされて壁に頭を打ち付けた。


「キャー、イズモ」

「ワンワンワン!」

「イズモ、大丈夫?」

「ああ」

「イズモ、血が出てる」


打ったところに触れた手は赤く、血のついた指を見つめる男の子。
< 44 / 410 >

この作品をシェア

pagetop