深海魚Lover
「イテッ!」

「イタイッ」

「何すんだ、クソじじい」


二人の腕を掴んでは、部屋の中へと押し入れて男は言う。


「ほらほら、ガキはもう寝る時間だ

 逃げ出すなら朝にしろよ

 ケイジ、二人を布団に連れて行って
 寝かせてやれ」

「えっ、でも布団

 母さんの分しかないよ」

「だったらそれ敷いてやって」

「嫌だよ!」


きっぱりと男(父親)に向かって嫌だと言い放つ子供の姿に驚き、顔を見合わせる二人。


「母さんが帰って来たらどうするのさ」

「フゥー

 ケイジ、だったらおまえがそこで寝ろ」

「うん、そうするよ

 君達、僕はケイジ、僕についておいで

 君、血が出てるじゃないか
 手当てしなくちゃ、バンソウコウ」

「こんなの大したことねえよ

 それより、俺の名はイズモ
 
 こいつは、妹のじゅん」

「ワンワン」


絢という名の女の子が抱いている犬を見つめる京次。


「このこはね、ワラビって言うんだよ

 抱っこしてもいいよ」


京次は、老犬のワラビの頭を優しく撫でてあげた。
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