深海魚Lover
『貴方とはもう、うまくやって行ける
 自信がありません
 
 ごめんなさい、別れて下さい』


テーブルに置かれた用紙は、離婚届。


『何、そいつとは自信あるのか?』

『ええ、少なくとも平凡には暮らせるわ』

『ふうん、平凡ねぇ~

 お前には似合ってるよ』


置かれたペンを取り、名前を書きながら男は言う。


『ケイジは置いてけよ』

『何言うの、貴方に子育てなんてムリ……』


ギロリ、鋭い目つきで女を睨みつける男。

 
『そんなのしらねえよ

 不貞を働いたのは俺でなく、おまえ』


母と息子がギュッと強く繋ぐ手を、無理やりに解いた後味の悪い男の手。


その手を見つめる……


「ケイジ、すまねえな
 寂しい想いさせちまって

 不甲斐ねぇ父ちゃんで
 ほんと悪い」


子育てなんて無理でしょう!


「……っつうか、俺
 今日から三人の子持ちかよ!

 これじゃあ益々、女っ気ねえな」


香る懐かしい香りに、男は眠りにつく。
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