深海魚Lover
そう、大切な家族との別れを目の前にして、俺達はただでさえ不安定なのに、跡を継ぐだの継がないだの今はどうでもいい話。

「しかし、加瀬組にはイズモさん
 貴方が必要なのです

 親父は、年を取りすぎた

 ……

 貴方はもう嘗てのような子供じゃない

 貴方が成人したら加瀬組の若頭にすると
 いうことは貴方がこの世に生を享けた時
 からずっと決まっていたこと

 親父はとても楽しみにしていらっしゃいます
 
 成人した貴方に会って貴方が後を継ぐ事を
 
 ……

 くそっ!

 貴方の傍を離れ真実を話すことなく
 親父と共に臭い飯を食っていた時間が
 今は心から悔やまれます

 井原がなんだ、組には貴方が必要……」

頭を抱える男。

「ちょっと待ってくれ
 何も帰らないと言ってるんじゃない
 
 少しだけでいいから
 時間がほしいと言ってるんだ」

「……わかりました
 もう一度、私から親父に話してみます」
< 54 / 410 >

この作品をシェア

pagetop