深海魚Lover
「ああ
 
 井原組はいづれ消えて無くなる
 モトさんが死んだら……

 ケイ兄は最初からそのつもりだ
 
 元々ヤクザ家業なんてアニキは
 するつもりはなかった

 俺が、遊び半分で引き込んだ
 みたいなもん

 それをモトさんが喜んだから
 アニキは後に引けなくなって
 
 ……」

立ち止まる、絢。

その目は、真っ直ぐに出雲を見つめる。 

「じゃあ、イズモもやめなよ

 危ないの嫌だよ

 お父さんに話してみようよ」

「無駄だ

 アイツに話したところでどうにもならない

 そんなことぐらい、じゅん
 おまえにだってわかるだろう」

「うん、でも……

 ねえ、イズモ

 私達、あそこに帰らなきゃいけないの?」

出雲は、蒼白い顔をして問いかける絢の両頬を片手でムギュッと抓んだまま見つめて言う。

「大丈夫だ、俺はもうガキじゃない
 
 そう簡単に遣られやしないし
 おまえを傷つけさせやしない」
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