深海魚Lover
「本当?」

「ああ
 
 いざとなればアイツを殺してでも
 おまえを守ってみせる」


幼い頃----

俺達はいつも怯えながら生きていた。

酒を飲み帰って来るアイツから、俺達は姿を隠す。

『イズモ帰ったぞ
 
 イズモどこだ、イズモ……

 土産だぞ、イズモ』

アイツはいつも決まって、深夜だと言うのに大きな声を張り上げて俺の名を呼ぶ。

その声を思い出すと俺は未だに恐怖を覚える。

幼い俺に刻み込まれた恐怖。

「あなた
 今、何時だと思ってるんですか!
 
 いつもいつも……」

「うるさい、どけっ、小言は要らん!

 それに、おまえに用はない」

「キャーッ」

ドタンッ、ガタンッ!

俺と絢は、聞きたくなくても聞こえて来るその大きな音に今起きているであろう状況を理解させられ、震える二つの体をピッタリと寄せ合って互いの手を握りしめた。

「あなた、やめて……」

突き飛ばされた母の声も届かない。
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