深海魚Lover
「イズモ、帰ったぞ

 イズモ、どこだぁ~」

俺達は、暗いこの場所で息を殺してその時を待ってる。

一秒でも早く、静まる時を願ってる。

どうか何事もなく、さっさと眠りについてくれ。

ガタンッ!

浴槽のドアが開く音がしたと思えば風呂の蓋は取っ払われ、俺達の目に光が差した。

「まぶしい」

「イズモ、わしの声が聞こえただろう
 いつまで隠れてる気だ

 いい加減にしろ
 かくれんぼなんかしてるんじゃない」

パチンッ!

数秒後、俺の頬に刺激が走る。

あつい稲妻、衝撃。

アイツに思いっきり殴られて、ジンジンと痛む頬。

それは、一発だけに止まらない。

「キャー、もう、やめて

 ママー、イズモが、ママー」

「うるさい声を出すんじゃない!」

「キャー、イタッ!

 ウッウウッ」

「やめろ、放せ、放せったら」

アイツは絢の頬を打った後、そのゴツゴツとした大きな手を今度は絢の口と鼻に押し付けた。
< 59 / 410 >

この作品をシェア

pagetop