深海魚Lover
「ああ

 女と旅行だがなんだか知らねえけど
 色気づきやがって

 って、人のこと言えねえか

 この俺だって、こんな朝っぱらから
 女とデートしてるわけだし」

「デート?」

「これをデートとは言えねえか」

「いえっ、デートです、これは!」

清々しい朝の道のりを、こうして大好きな貴方と手を繋いで歩けるだなんてとっても素敵。

十分、素敵なデート。

京次さんは寝癖のついたままの髪に、手櫛を通しながら言う。

「この格好じゃあそこで
 お茶するぐらいがやっとだな

 お茶する?」

お茶するってことは、あの喫茶店に入るってことだよね。

あそこって確か潤司君と立ち寄った場所だ。

今朝は、京次さんと一緒にだなんて嬉しい。

「はい、お茶します」

「何、そんなにうれしい」

「はい」

「なんだったら、あそこでもいいぜ
 ゆっくり、まったりできる」

京次さんが指差した方向には、路地裏にホテルの文字。
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