深海魚Lover
唇の端から銜えた煙草を放す指先。

吐いた息は煙を交え、前に垂れた髪を浮かす。

掻き上げる髪を首元で押さえながら出雲は話す。

「なあ、右田(ウダ)の兄貴

 アンタはなぜそんなにも
 俺に肩入れする」

「貴方をこの組に呼び戻したのは
 誰でもないこの私
  
 私には責任があります」

「そんなもん、いい加減
 捨てちまえよ

 アンタに言われたからじゃねえ

 戻ると決めたのは、この俺だ
 アンタには関係ない」

「しかし、キョンにも
 
 カシラ、貴方にも

 俺は本当に……」

年の離れた兄弟分でもある自分に頭を下げる右田の姿を、出雲は見ずに背を向ける。

「昔の話はよそう

 誰も兄貴
 アンタを責めちゃいねえよ

 キョンも俺も

 アレは事故だ……

 四奈川の件は奴の好きに
 遣らせておけばいいさ

 どうせまた怖気づくに決まってる」
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