深海魚Lover
守りたい----


『バカねえ、イズモ
 
 泣いてどうするの?

 それじゃあ、バレバレ……』

『ごめんな、ジュン

 キョン、すまねぇ』


俯くしかない、俺----


何も言わず俺の頭を撫でるキョン、ケイ兄の手が、あまりにもモトさんの手の感覚に似ていて

優しくて温かくて……

今にも声を出して泣きそうになった俺はその場を後にした。


そう、ここは病院でモトさんの死から十数年後

次に病魔に侵されたのは、妹だった。


病室の外----

溢れる涙を拭いながら廊下に出た俺は、立ちつくす足元を見つめた。

そして、涙に濡れた右手を握りしめては下唇をギュッと強く噛み、あまりにも弱い自分自身を責めた。
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