僕は君の名前を呼ぶ
橘から家庭のことを聞いたとき、橘は母親のことは詳しく言っていなかったが俺は水商売でもしているのだと勝手に想像していたから少し驚いた。
橘の母親は、本当に義父とのことを知らないんだな…。
「えと、同じクラスの青木海斗くん」
橘に紹介され、ペコリと頭を下げた。
「立ち話もなんだから、あがっていきますか?」
「あっ、いえ、自分は彼女をここまで送りに来ただけなので、ここで失礼します」
橘も、お母さんに話したいことがあるだろうし、俺は邪魔できない。
「あら残念ねえ」
「じゃあな、橘。また月曜日」
そう言って俺はさっき歩いてきた道をたどり、家に戻った。