僕は君の名前を呼ぶ


隆太はそう言うと、『海斗の真似だ』と言って変な顔をした。


それを見て渡辺が大笑い。橘は密かに肩を揺らしていた。


笑ってくれるなら、まあいいか。


「そういえばさ」


目に涙を浮かべながら切り出す渡辺。


隆太の顔に対してだと笑っていたのだとわかっていても、俺の真似だと思うと頬に空気を入れて膨らませていじけてしまいたい気持ちになった。


「わたしの地元ってここなんだけど、夏休みにいつも大きなお祭りがあってさ。ふたりは来たことあるの?」


そういえば、橘が出身中学は高校からそんなに離れていないって言ってたよな。


橘と渡辺は中学からの付き合いだし、そういうことなのか。


< 131 / 419 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop