僕は君の名前を呼ぶ
「ツレないなあ、君は。気になってしょうがないくせに。俺たち、中学のときに付き合ってたんだ。あー、でもあれって付き合ってたって言うのかなあ」
「なにそれ」
「おっ、いい反応」
俺たちは塾を抜け出し、駅前の広場へ。
「ん、やる」
俺は自販機でブラックコーヒーを2本買って、1本を夏樹に渡した。
レモンティーは、気分じゃない。
プルタブをあけた夏樹はおもむろに話し始めた。
「俺たちの出会いは中1のときで…」
夏樹の話によると、同じクラスになったふたりは意気投合。
普通に仲のよい友人のひとりだったそう。
しかし、そんな関係に変化をもたらしたのは橘。
橘から夏樹に告白したそうだ。
夏樹は橘に対して好きという感情は抱いていなかったもののいいよと言った。
でも、当時はまだ中学1年生。