僕は君の名前を呼ぶ
お化け屋敷やら縁日やら、ありきたりな出し物じゃないし、昼間に夜を作る非日常感に魅力を感じた。
…橘と一緒に見れたら素敵なんだけどな。
叶わない願いなんだ思うと、ため息が出た。
時々、予備校を休んだり遅刻したりしながら俺も準備に参加した。
手作りプラネタリウム。
クラスのちょっと機械をいじるのが得意なやつが設計図を書いて、あとはその通りに組み立てるだけ。
難しい作業だったけど、逆にそれが良かった。
何もかもを忘れて、作業に没頭できたから。
プラネタリウムが完成したその夜。
俺は予備校をサボって夜の学校に侵入した。
本当かどうかは知らないけど、夜はアルソックのおじさんが警備してるって聞いたことがあったから最初はビビってたけど、案外簡単に学校に入れた。
数日後に迫った文化祭に向けて、使わない机や椅子は片付けられていて教室はただただ広かった。