僕は君の名前を呼ぶ


「ちゃんと連絡とってんだろ? 彩花と」


「ああ、もちろん」


そりゃ、取ってるさ。


毎日メールか電話かを必ずしてる。


でもやっぱり、文字や声だけじゃ足りなくて。


どうしても彩花に会いたくなってしまう。


しかも今は、次いつ会えるかわからないからなおさらだ。


「きっとさ、お前がさみしいってことは彩花もそう思っているはずだしそれはそれでいいんじゃない? 会えないのは仕方ないことだし」


「愛し愛されてるって確認できていいじゃん」とつけたして、夏樹はニヒヒと歯を出して笑った。


「そう、かなあ」


俺は何本目かの缶を空にした。


酒は強い方なのに、今日はなぜか酒がまわるのが早い気がした。


『笑わせる』とか立派なこと言っておいて、実際やるとなるとなかなか難しい。


距離が壁になるなんて、考えればわかることなのに当時の俺は全然そんなこと考えてなかった。


…ガキだな。


昔も、今も。


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