後悔なんて、ひと欠片もない
身体を横にして、Tシャツ越しに和史さんの肩と腕に触れた。
「うわあっ!固い…ガッチリしてますね…明日のジョーって感じしますぅ…」
和史さんは私のジョークにプッと吹き出し、ははは、と声を立てて笑った。
それは、さっきの私の反応に似ていて、私と彼の相性の良さを表していた。
「俺、指輪してないけど、奥さんいるんだよ」
「あっ…そうなんですか…」
ガーーーン……
出来るだけ普通に答えたけれど、心の中は、もう、ショック!の一言…
当たり前か、こんな男がフリーなわけない…
私はこの時、もう既に和史さんに惹かれていたんだ…でも、自分が既婚者に興味持つなんて信じられなくて。
「いつ頃、結婚したんですか?」
自虐的にそんな質問をした。
「3年前だよ」
ビールをひと口啜ったあと、つまらなそうに答えた。
「じゃ、新婚みたいなものですね。結婚ていいものですか?」
なぜ、そんな事を訊いたのか自分でも分からないけど。